【本】「パチンコがアニメだらけになった理由」安藤健二【ネタバレ】

http://www.amazon.co.jp/dp/4862485081/
パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)
安藤 健二

 読了した。

 どこまで本当かはわからないが、なかなか面白かった。

 以下、ネタバレなので、興味あるひとは本買うと吉。

 【不正解】

エヴァとかで育ったアニメファンがパチンコ世代になった。
・パチンコ経営者がアニメファン世代になった。
・アニメファンをパチンコに呼び込みたいパチンコ業界の作戦。

【正解】

CR機の登場で出玉規制などかかり出玉でもゲーム性でもパチンコは制限をくらった。
・大型液晶の演出で違いをだすようになった(逆にいえば演出意外は同じパチンコ台ばかり)
・演出のネタとして新作をつくるのは大変なので映像の元ネタが大量に必要。
・アニメを流用するのが楽。
・アニメが楽な理由:アニメの権利は芸能人などより安い、パトルシーンがそのまま流用できるので映像を作らなくていい、善悪・バトルなどの世界観がパチンコの勝負の世界観に流用しやすい(アニメの絵はパチンコの演出に転用しやすいものがおおい)。権利が一本化されていて面倒がない(肖像権etcも)
・アニメ側は宣伝になるし権利金がけっこう大きいので「ギャンブルに身売りした」という負い目がクリアできれば、ありがたい話。

エヴァ牙狼がヒットしたのはアニメや特撮の知名度とはほぼ無関係。「突然暴走モード」や「魔戒ゾーン」という新規ルールや機能が、アニメの演出とハマったのでヒットした。有名なアニメや芸能人を使っていてもパチンコ台がつまらなかったらはやらない。逆に台が面白ければ題材になったアニメの知名度は関係ない。(牙狼などパチンコファンにとっては無名)
エヴァの大ヒットで、大量のCMをうって話題にする商法ができる。例はアクエリオン。ただし大CM作戦の相手はパチンコファンではなくてパチンコホールのオーナー。大量のCMで話題を作って「話題の台を入れないと客がこない」という危機感を煽って、大量に新機種をいれさせるため。CM作戦のおおかげで、一台20万円台だったパチンコ台は30万円後半まで値上がりした。
・CMのおかげで高価な台を一気に更新しないといけなくなって資金繰りが苦しくなったパチンコホールは出玉をしぶるようになった。よって、なかなか儲からなくなり、ますます資金繰りが苦しくなるという悪循環。この悪循環は近々破綻するだろう。
パチスロに流れていた若い層がパチンコに戻ってきた。だが新規のパチンコファン(アニメファン)は無視できる程度しかいない。
・パチンコのエヴァからアニメのエヴァのファンなる人はいる。

・地上波デジタルの高画質でアニメファンがDVDを買わなくなり、深夜アニメの製作費がDVD売上で回収できなくなった。パチンコの権利金は1機種5000万円超になることもあるのでアニメ制作にとっては副収入ではなく、正収入になりつつある。

・新劇場版エヴァの製作費用はガイナックスに払われたパチンコ権利金年5億円(?)がカラーに還流したものではないか?(噂)
 アクエリオン知名度の割に早くアニメ化されたのは、河森監督の会社を子会社化してマクロスの権利を押さえるための布石。マクロスFの製作費は前払いされたパチンコ権利金(噂)

【結論】

CR機の導入で「液晶での演出」しか変化する場所がなくなったパチンコは映像ネタを探し求めて(マイナー)アニメにいきついた。
・地上波デジタル放送のせいでDVDが売れなくなり製作費が回収できなくなったマイナーアニメは、パチンコ権利金で資金を回収することにした。
・演出はハデだが出玉がしぶいパチンコから客が離れだした。

 ということで、パチンコとアニメの蜜月はwin-winで続くけれども世界を回している動力源である、パチンコファンの資金注入が先細りしているので、この世界は早晩、破綻する。

 以上。

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 この本のいっていることが本当であれば、深夜アニメやマイナーアニメのファン(オタク)は、パチンコファンが落とした金で作られたものを安価に見ているわけで、パチンコファン(ギャンブラー)にフリーライドしていることになる。

 そんなことで、いいのか?

 リア充のおこぼれ、メインストリーム(なにそれ)のおこぼれ、ぐらいなら、まだわかるけど、ある種、忌み嫌っている(軽蔑している)、ギャンブルの収益金で自分らの文化が支えられていて、いいのか?

 いや、別にいいなら、いいけど。